昨晩は緊急オンライン研究会ということで、一般社団法人HEAD研究会の国際化TFの活動の一環としてウッドショックをめぐる対話を行いました。 HEAD研究会の会員の方は無料とし、会員外の方からは参加費を徴収する形としましたが、それでも70名ほどの聴衆を迎えたうち40名ほどは有料の参加者でした。この課題への関心の大きさを感じます。
山代から趣旨説明を行った後、最初にくらし工房大和の鈴木晴之さんから、主に首都圏で戸建住宅の建設の現場でどのようなことが起きているのか、生の声をいただきました。建設の需要はあるのに材料が手に入らないために工事ができず受注できない、職人さんたちも仕事を失う、といった状況が報告されました。
お二人めとしては木村木材工業の木村司さんから、木材輸入の現場で何が起こっているのか、アメリカなどの住宅市場の動きからはじまり、何が原因で今回の事態が起こっているのか、多くの観点から詳しくご紹介いただきました。直接的にはコロナ禍のなかで生じたウッドショックですが、大きな視点から見れば以前から木村さんがおっしゃっていた日本が世界の木材市場をリードし、むしろ海外から非難を受けていた「ジャパン・バッシング」の時代から、市場をリードできない「ジャパン・パッシング」、スルーされる存在となった「ジャパン・ナッシング」の時代に移ってきたことが原因だということがよくわかりました。
三番目には林材ジャーナリストの赤堀楠雄さんから、ウッドショックをうけて、日本の林業の現場ではなにが起きているのか、これから日本の林業に期待されることはなんなのか、報告と提言をいただきました。一部の例外を除けば、林業の現場は今回のショックをうけても、ほぼ静観という状況のようです。慌てず騒がず、は美徳な面もあると思いますが、あまりに鈍いとショックをチャンスに変えることは難しいのではないかと危惧します。
お三方のお話をうけて、日経BPの小原隆さん、林野庁の長野麻子さんのコメントを頂いた後には、聴衆の方も含めて議論をおこないました。 一時的なショック状態はいずれ解消されるのでしょうが、日本の世界の木材市場における位置が大きく変わらない、変われないなかで、新しい輸入材との付き合い方、国産材の活かし方、輸出産品となるものは何なのか、考えて行きたいと思います。 また、今回は戸建住宅スケールの話しが中心でしたので、中大規模木造編も改めて開催したいと思いました。