建材部品TF 山本想太郎氏
「建材」は「建築」に従属するものではなく、実際には「建築」よりも手前で、密接に生活に関係しています。これから建築不動産産業が価値をもち続けるためには、建築視点の論理から生活者視点の実践への転換が必要となると考えますが、そのとき「建材」は社会性を帯びた「建築」の一部ではなく、人と建築をつなぐ楽しく自由なインターフェイスであるべきです。そのような建材を起点とした開かれたコミュニケーション基盤を、本TF は目指しています。
市民防災TF 山代悟氏
これからの建築不動産は、地震や台風などの自然災害が頻発する中で、持続可能な都市計画や災害に強い建物の設計が重要となっています。その上でインフラが寸断し、建築が一部壊れることを前提に備える発想が求められると思います。市民防災TF はこのような課題意識で活動し、防災対策の啓発や地域コミュニティとの連携を強化していきたいと考えていますが、どのような広がりが考えられるでしょうか。
コミュニティ・アセットTF 田島則行氏
近年、空き家の利活用が叫ばれてきていますが、空き家は今でも増える一方で、900万戸に上るといわれています。一方、大手ディベロッパーは都心部に注力し、国は、全国の先駆者を紹介しつづける事例主義から抜け出せません。空き家問題をトータルに解決できる人は誰もおらず、個別解ばかりが増えています。こういった現状に対して、コミュニティ・アセットの考え方を推し進めて構造的な解決策を見いだしていきたいと思っています。
ビルダーTF 権藤智之氏
工務店はそれぞれの地域で一定の規模があり、実際に空間をつくる技術や知識をもつ。このことから、工務店は従来の住宅生産に加えて、ストックの維持管理や技能者の育成、さらには自治体が何か空間に関わる事業をする際にその組む相手としても注目されるなど、社会的な役割を担うことが増えています。隣接分野の先進的な事例に学びつつ、社会性と事業の継続性をどのように成り立たせていけるのかを考える活動をしていきます。
不動産マネジメントTF 倉内敬一氏
人口減少社会において2050年までに「単独世帯」が増加し、その割合は44.3%へ上昇しました。増加する高齢者や若年層が社会的孤立にならないよう、建築不動産産業は快適な住まいの提供に留まらず、地域内で空き家などの建物を活用したサードプレイスを創出し、コミュニケーション機会の増加を図りたいと考えています。不動産マネジメントTFでは、誰もが暮らしやすい社会を実現するために他団体と連携し発信をしていきます。
ライフスタイルTF 三沢亮一氏
ライフスタイルTFは建築不動産産業の未来の在り方を探っています。最近の住宅状況の変化として、大規模な住宅の増加や省エネ、自然素材の利用、宅配サービス対応、セキュリティ強化などの変化を特に感じています。より豊かなライフスタイルを目指すため、ユーザー視点の細やかな対応や空間のトータルコーディネートが実現できるような企業間の連携が必要です。TF活動では、複数メーカーによるデザイン統一部材の整備やより多くのディベロッパーやデザイナーへの需要の喚起を計ります。地方と都心の住宅サービス格差を解消し、豊かな生活を実現するために、地方への住宅誘導も考慮します。
フロンティアTF 荻野高弘
建築不動産業界でも、ITやテクノロジーを使い、ユーザー視点で事業を起こす「スタートアップ」が増えてきました。建築不動産は、生活の大部分の時間を担う「場」をつくる大きな産業であり、それをより豊かにするため、起業家やスタートアップも注目しているように感じています。
ただ、産業が大きくまだ若い起業者が入りにくい業界でもあるのではないでしょうか。フロンティアTFでは、「若いスタートアップや起業家」と「建築不動産業界」をつなぐ役割を担っていきたいと考えています。
オープンプロセスTF 水上
他業界同様、建築不動産業界においても職人不足をはじめ深刻な人材不足が課題となっています。その中で、アマチュア人材や女性の力をいかに引き出せるか、そしてその力を引き出すための社会の仕組みづくりは、松村先生が執筆されているように、課題解決の策の一つになりうると考えています。TF16では子育てをきっかけにHEAD研究会での活動から一時離れていたメンバーを中心に再結成し、自らと同じような環境のメンバーが参加しやすい、参加したくなるような開催方法を模索しながら、暮らしに密着した建築不動産産業のあり方について視察を通して学んでいます。